前回に引き続き『飲食店のブレ』を無くす為の『仕組み作り』について書いて参ります。
前回の記事を読まれていない方はこちらからどうぞ。→ 【飲食店】仕組みを作り『ブレ』をなくす 〈前編〉
◆徹底的にレシピ化を進めよう。
厨房のシステム化の柱の二つ目である『レシピ化』について、ご説明しましょう。
厨房作業を標準化する際に大きな問題となるテーマに『加減』があります。
『塩加減』『湯加減』『茹で加減』『焼き加減』など、『良い加減』は人それぞれですね。
中でも厨房スタッフに徹底してほしいのは『塩加減』。
基本的にどんな料理でも塩はかけますが、塩加減一つで味はガラッと変わってしまいます。
肉を焼くだけのグリル料理などは、塩が薄いとまったくパンチの無い味になるし、多いと食べられたものではありません。
そこで、塩やコショウなどの各種スパイスを混合したスパイス塩を開発した事があります。
塩のみを振りかけるより、塩気が濃くなるミスを大幅に減らす事が出来るうえ、塩とコショウを振りかける作業工程が一つに短縮出来ます。
レシピ化の際にこのような工夫をする事で、調理ミスが起こりにくくなりますし、このスパイス塩は、今でもとんかつ調理や、唐揚げの味付けに重宝しています。
塩加減によって味のバラつきがおき、それがクレームに繋がるのなら、塩を振りかけるという作業そのものをレシピからなくすというのが『仕組み作り』の基本的な発想ですね。
市販のポン酢に【酎ハイ用のシロップ】を混ぜるという『自家製ポン酢』等も面白い発想です。
◆半加工食材の開発
半加工食材の開発は、店舗内の『仕込み』作業を減らしていく事と、品質の安定を同時に実現するための取り組みです。
例えば、ハンバーグであれば、店でパテを仕込む作業を外注化する事で、パテを練り合わせる作業を店舗からなくす、といった感じです。
【玉ねぎをみじん切りにして、ソテーして、ひき肉と合わせて、卵や牛乳でつなぎ、味付けをする】
と、いう一連の作業工程が無くなりますので、生産性の向上がはかれるうえに調理ミスによる品質の劣化も防ぐ事が出来ます。
ラーメンチェーンでも、店舗で仕込んでいたスープを外注化し、外注したスープを店舗で軽く炊くだけといったように、多店舗化の過程で作業工程を作り直す事がよくあります。
【豚の骨をたたき割る、それをきれいに洗って、何時間もかけ寸胴で煮出す】という作業が無くなる事で、生産性の向上、品質の安定が実現します。
ラーメン屋さんで特にうれしいのは『ガス代』ですね。
ラーメンスープなどは、作り立てから作って数時間後と、スープの『濃度』が変わり味に変化が起こります。
多店舗化に伴う『外注化』は必須とも言えるでしょう。
店で炊きだすスープの仕上がりは、40点の出来栄えの時もあれば、100点の時もありますが、外注したスープは毎回80点の味が出る様に、店で炊いたスープの最高の状態に及ばないものの、平均点を取れれば問題ない出来上がりだと思います。
魚介系ラーメン店などで、気を付けるべきポイントですが、鰹節に代表される魚系の出汁は店内で煮出さないと風味が出ないので、こういった作業のみ店舗調理として残した方が良いでしょう。
あと、ハンバーグのパテも、店で調理する間際に『こねる作業』を行わないと、ふっくらと焼き上がらないので、店舗内でハンバーグパテをこねてから小分けする作業は残した方が良いでしょう。
生産性向上を狙って作業効率を追求するあまり、品質が落ちれば、お客が離れていく事になります。
自分のお店の『業種・業態』に合わせた、提供前の工夫もしっかり『仕組み作り』の中に盛り込んでいきましょう。
◆夢見る『セントラルキッチン』
店内の仕込み作業を減らして行く為に、自社で『セントラルキッチン』を作り、半加工食材を開発する選択肢もあります。
しかし、セントラルキッチンは、よほどの出店拡大が見込めない限り作らない方が良いでしょう。
セントラルキッチンの運営には想像以上のコストがかかります。
つくった瞬間に店舗の利益を大幅に持って行かれる覚悟は必要です。
かつて、居酒屋を経営していた友人が、5~6店舗出店した時点で『セントラルキッチン』を作りましたが、多大なコストがかかり非常に苦労していました。
工場生産のノウハウを持たない飲食企業・個人事業主がいきなり作っても、『品質管理』『人件費』『水道光熱費』『運搬費』など意外に経費はかさむものです。
まず、外注先の確保から進めて行き、限界まで『セントラルキッチン』は作らない方が得策です。
ちなみに外注先として自分の経験談で行くと、『キャベツの千切り』『オニオンスライス』など野菜のカットや、『ソース』の材料になるものはすべて『八百屋さん』にお願いしていました。
『ハンバーグのパテ』や『つくね』『鍋用のお肉のカット』など、お肉の下処理も『お肉の業者』にお願いできます。
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